おしとやかで神秘的なイメージがある神社の巫女さん。
かわいさとカッコよさを兼ね備えたあの巫女装束を「一度は着てみたい!」と思う方も多いのではないでしょうか?
実際に巫女さんにあこがれる女性は多く、バイトも人気があるようです。
しかしなかなか特殊な求人ですので、求人数や経験者も多くありません。
職場環境や仕事内容など、なかなかピンとこない部分も多いのではないでしょうか。
そこで経験者である私が、自分の経験や感じたことを基に、巫女バイトの良いところ・大変なところをお伝えしたいと思います。
主観的な意見も多いと思いますが、「巫女さんのバイトをしてみたい」と思っている方々の参考になれば幸いです。
巫女バイトの良いところ
実際に巫女さんのバイトをやってみて、「ここが良かった!」と思う点を挙げました。
和服の着方、畳み方が身につく
巫女さんが着る巫女装束は当然自分で着付けますし、奉職(お仕事)を終えた後も自分で装束を畳まなくてはなりません。
ただ神社さんによっては巫女装束をハンガーなどにかける形になっていて、畳む必要がないところもありますので、そういった機会に恵まれないこともあるかもしれません。
巫女装束は袴ですので、着物などの着付けとは違いがあると思いますが、畳み方に関しては共通する部分が多いようです。
ですので巫女装束が畳めるようになれば、いろんな和服も畳めるようになります。
今どき和服を着る機会が少なくなっていますが、冠婚葬祭などのかしこまった場では何かと必要になりがちですよね。
和服を扱う技術や知識がバイトを通じて身につくのは、なかなかありがたいのではないでしょうか。
作法や言葉遣いが身につく
私がいたお宮には参拝者さんに楽しんでいただくお庭(神苑)があり、その中に小さなお茶室がありました。
和室なので、正座での移動や障子の開け閉め、お抹茶の立て方や出し方など、細かい所作を教えていただきました。
また言葉遣いに関しては、やはり日常生活では耳にしないような独特の言い回しが多く、慣れるまで少し大変だった思い出があります。
以下に神社で使う言葉遣いをまとめましたので、ご参考までに。
- 値段→初穂料
- お会計、お支払い→お納め、お供え
- いらっしゃいませ/ありがとうございました→ようこそお参りです/ようこそお参りでした
- お札やお守りには神様が宿っているので、1体、2体と数えます。
- 神様は1柱(はしら)、2柱と数えます。
神社は商売の場ではないということと、巫女さんは神様に仕える仕事である、ということを教えられました。
身が引き締まる環境で仕事をすることで、丁寧な言葉遣いや礼儀作法が身についたと思います。
貴重な経験ができる
実は巫女さんになるにあたり、以下2つの条件があることが多いです。
- 未婚であること
- 年齢制限
つまり巫女さんとして働けるのは、結婚していない若い時期に限られるということになります。
私も「社会に出る前に、学生である今しかできないことをしたい」という思い出作りのような感覚で、巫女バイトに応募しました。
②に関しては神社さんによって異なります。
例えば、日本の神様の総本山である伊勢神宮では、正職員の巫女さん(お伊勢さんでは舞女と呼びます)に応募できるのは18歳の女性(高卒の新卒)のみとしており、定年がなんと23歳(!)とのこと。
こういった神社さんもあれば、定年を35歳くらいまでとするところもあります。
全体的には、概ね20代後半あたりを上限とすることが多いようです。
四季を感じられて楽しい
神社では、日本の四季や伝統に合わせた行事が数多く行われています。
お正月や節分、七夕、七五三やお宮参りなどの有名なものばかりでなく、各地域や神社独自のお祭りなどもあれば、一般公開せずに神社内だけで執り行われるものもあります。
私がいたお宮のお庭には、椿や梅、桜、藤、紅葉などの四季折々の植物が植えられており、季節ごとにお庭の様相が変わるのがとても綺麗でした。
また、七五三やお宮参りでいらっしゃる子供たちの姿に癒されていました。
もちろん忙しいときも多いですが、日本の四季や伝統を肌で感じ、穏やかで平和な時間を感じることもたくさんありました。
就活でアピールできる
やはり厳格でまじめなイメージを持たれやすく、珍しいアルバイトということもあり、面接で話題にされたり、良い印象を与えることは多かったと思います。
もちろんこれはどの仕事にも共通することですが、ただ巫女のバイトをしていたというだけでなく、自主的に取り組むことが大切です。
私は海外からの参拝者さんに対応できるように、英語を勉強していました。
神社には日本固有のものや言葉が数多くあるので、翻訳するのはなかなか難しかったです。
巫女バイトの大変なところ
これまで巫女バイトの良いところを述べてきましたが、次は大変だと思ったことをお話ししたいと思います。
お正月から忙しい
神社で奉職するからには、やはりお正月は忙しいです。
特に三が日はいつもより朝が早かったので、早起きが苦手な人はつらいかもしれません。
三が日が過ぎても、仕事始めの会社の御祈祷などが立て続けに入り、しばらくは落ち着きません。
巫女装束の機能性があまり良くない
セーラームーンや犬夜叉などの人気アニメにも登場し、多くの女性が憧れる巫女装束。
「一度は袖を通してみたい!」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかしいざ憧れの巫女装束を着てみると、テンションは上がりますが、機能性はあまり良くありません。
一応夏仕様と冬仕様がありますが、夏は暑く、冬は寒いです。
私がいたお宮では、冬は装束の下に防寒服を着ることができましたが、「ベージュなどの肌に近い色、あるいは白色、タートルネックはダメ」という決まりがありました。
基本的に装束の中に隠すことができ、見えても違和感がないものでないといけません。
それでも外の作業が多かったので結構寒くて、参拝者の方々にもよく「寒そうねえ、ご苦労様」と声をかけられました(笑)。
オシャレの自由度は低い
巫女さんになるにあたって、髪色やメイクなどに関して厳しく言われます。
髪色は目立たなければ茶髪でも大丈夫かもしれませんが、基本的には黒髪です。
メイクもあまり濃すぎないようにする(ギャルのようなメイクやカラーコンタクトはダメ)必要がありますし、派手なネイルやピアスもできません。
皆さんも派手な巫女さんなんて、見たことありませんよね。
「バイト先でもしっかりオシャレしたい!」という方には、魅力的に映らないかもしれません。
覚えることが難しい
巫女さんのバイトでは業務内容や言葉遣いだけではなく、お札・お守りの祈念や、神社でお祀りしている神様など、ある程度勉強しておく必要があると思います。
参拝者さんに聞かれることがよくあるからです。
しかし神様の名前などは現代的な言葉ではなく、難しい言葉が多いので、なかなか覚えにくかったです。
また私は歴史も苦手なので、神社の由来を覚えるのにも苦労しました。
そもそも求人が少なく、採用もされにくい
巫女さんのバイトは人気がありますが、やはり珍しい求人ですので、募集も少ないです。
また応募しても、採用されないことがけっこうあります。
特に有名な神社さんは人気があるためか、倍率が高くなるようです。
私も2社に応募しましたが採用に至らず、3社目で採用していただけました。
中には「10社以上受けてやっと採用された!」という方もいらっしゃいました…!
研修をしっかりと行う神社さんもあるので、研修に時間が取れないと採用されにくいかもしれません。
また人に接する仕事ですので、接客業の経験を問われることも多かったです。
巫女さんは神社の顔になりますので、人選にはより慎重になるのだと思います。
私が最終的に採用されたお宮では、人手不足だったので割とすんなり採用されました(笑)。
これといった研修はあんまりなく、実践を通して覚えてもらうという感じでしたが、いろいろ丁寧に教えていただけました。
採用・研修事情も神社さんによって様々です。
巫女バイトの職場環境やお給料について
どのバイトでもそうですが、働くうえで職場環境やお給料は非常に重要です。
ここでは、職場の雰囲気やお給料、感じたことをお話しします。
私がいたお宮で感じた主観的な感想も入ってしまいますが、少しでも参考になれば幸いです。
巫女バイトの仕事内容
巫女さんバイトの主な仕事内容は、お守りやお札の授与、御祈祷の受付などになります。
神社さんによって多少異なりますが、お神楽などはやはり練習が必要ですので、正職員の巫女さんが舞うようです。
私がいたお宮も基本的にはそうでしたが、お正月だけは奉職(勤務)歴の長いバイトの巫女さんも舞っていました。
お給料はどのくらい?
お給料は概ね時給1,000円くらいで、普通のバイトとそんなに変わらないと思います。
ただし、お正月の三が日や仕事始めの忙しい期間は人手が欲しいので、特別手当をつけてくれる場合があります。
私がいたお宮でも、三が日連続と仕事始めの期間にシフトに入ると、1日当たり1,000円くらいの手当をいただけました。
職場の雰囲気はどんな感じ?
私がいたお宮では、職員さんとバイトさんの距離が近く、仲良く働いていました。
分からないことも丁寧に教えてもらえましたし、とても親切に接していただけたと思います。
ただ、そこもやはり神社さんによって違いはあるかもしれません。
職員さんはもっと大変そう
私はバイトとして楽しく働かせていただきましたが、職員の神職さんや巫女さんたちはとにかく忙しそうでした。
人手が足りない
どうやら神社業界は全体的に人手不足のようで、私がいたお宮でも常に人手不足を嘆いていました。
お寺さんに比べると、神社の数に対して職員さんの数が足りていないそうです。
言われてみれば、巫女さんは結婚したらできないですし、年齢制限まであります。
女性の社会進出を推進する現代において、ライフイベントの影響が大きく、キャリアもイメージしにくい巫女さんを仕事として選ぶ女性は、確かに少ないのかもしれません…。
休日が少ない
祝日は何かと行事があることが多いですし、年末年始は言うまでもなく忙しいです。
さらに人手不足ということもあり、お休みがなかなか取れないみたいです。
男性職員(神職さん)は宿直がある
宿直とは、社務所などに泊まり込んで神社内を見回ることです。
神社には神聖な建造物やお賽銭などがあり、それらが傷つけられたり盗まれたりする可能性があります。
ですのでセキュリティーはしっかりしたいところなのですが、神社の公共性を考えると、それもなかなか難しいそうです。
門を閉めると、地元の人が怒ってしまうこともあるのだとか。
だから神職さんが神社に泊まって見回る、という方法で警備することが多いようです。
ただでさえ休みが少ない上に、宿直で前日からぶっ通しで奉職、なんてこともあるようです…。
かなりハードですね…。
巫女バイトはどうやって見つけるの?
巫女さんのバイトを始めるには、まず求人情報を見つける必要があります。
ここでは、巫女バイトの探し方を説明したいと思います。
ネットで検索
普通のバイトと同じように、ネットでワードを入れたらヒットします。
求人情報は神社さんのホームページや、Indeedのようなバイト求人サイトに掲載されています。
ネットではだいたい、
- 「巫女 バイト」
- 「巫女 助勤」
- 「巫女 募集」
といったワードで検索すると良いと思います。
私は神社さんのホームページで見つけて応募しました。
ちなみにこの記事では便宜上、神社の仕事を「バイト」と言っていますが、本来は「助勤」と言うのが正しい呼び方です。
大学や掲示板の求人情報
私がいたお宮では、たまに職員さんが神社近くの大学に行って学生さんを勧誘していました。
そこから入ってきた巫女さんも何人かいました。
他にも、神社の掲示板に求人情報が貼られていることもあります。
気になる方はネットだけでなく、大学の求人情報や神社の掲示板もチェックしてみてください。
お正月以外も求人がある場合も
巫女さんのバイトというと、お正月の期間だけ募集している短期バイトのイメージがありますが、常勤(長期)バイトの巫女さんを募集している神社さんもあります。
私は常勤バイトの巫女として、1年半ほど奉職させていただきました。
もともとお正月の巫女さんの求人から応募したのですが、そこから常勤として奉職させていただけることになりました。
常勤の巫女バイトを狙っている方は、お正月の短期バイト求人にも目を向けると良いかもしれません。
まとめ
今回、経験者の視点から巫女さんバイトの良かったところ、大変だったところなどをお話ししました。
個人の感想としては、人にも恵まれ、総合的に楽しく奉職させていただけたと思っています。
和服の扱い方や所作、神社の言葉遣いなど、できるようになったことや知識も増えました。
大変なこともありますが、神社の奉職を通じて得るものもたくさんありますし、何より貴重な経験ができると思いますので、皆さんにもおすすめしたいバイトです。
「今しかできないことをしてみたい」とお考えの方は、ぜひ挑戦されてみてはいかがでしょうか?
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